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名将が引退「感無量」26年貫いた信念

高橋
高橋司さん
画像提供: tennis365.net
高校テニスの日本一の座を争う大会、大正製薬リポビタン 第48回全国選抜高校テニス大会(福岡県、博多の森テニス競技場、オクゼン不動産テニスコート、砂入り人工芝、以下:選抜)は団体戦が21日から25日、個人戦が22日から26日にかけて行われた。今回は男女ともに団体戦出場を果たした神奈川県の法政大学第二高等学校(以下:法政二)で監督を務めた高橋司さんを取材した。

>>第48回全国選抜高校テニス大会 男女団体戦・組合せ<<

法政二が選抜に出場するのは男子が4年連続21度目、女子は6年連続7度目。今大会は男女ともに初戦敗退となった。

男女両部の監督を務めてきた高橋さんは今年度で教員を退職し、監督を引退する。そのため、今回の選抜が監督としての最後の大会となった。

高橋さんは2000年に当時男子校だった自身の母校でもある法政二の監督に就任。同校はこのとき1984年以降、選抜出場から遠ざかっていたが、高橋さんが監督に就任後、2002年に18年ぶり3度目の選抜出場を決め、いきなり4強入り。その後は3年連続でベスト4に入り選抜常連校となった。高橋さんが率いた26年間で法政二は選抜に19度出場し、2度の準優勝も飾った。

さらに、同校が共学となった2016年に創部された女子部でも高橋さんは監督に就任し手腕を発揮。創部わずか3年の2019年に選抜初出場を果たすと、女子も常連校となり、創部から2026年までで実に7度の選抜出場を果たしている。

まず、低迷していた法政二を2002年に18年ぶりに選抜に導いた際に取り組んだことを聞いた。

「(法政二の)教員になりましたが、10年間はOBコーチとして高校の部活に行っていて、監督ではなかったので、指導も気持ちも半分で終わる部分があって、どうしても最後まで仕上げられなかったというもどかしさや悔しさがありました」

「2000年から監督になって、選抜やインターハイという団体戦を目標にやってきました。神奈川は当時からすごい強い学校がたくさんあって、そこをどう崩すかということを考えていました」

「うちは寮ではないので、学校の合宿場で合宿を組んで寝食をともにして、夜までミーティングを開いたり、みんなで交流を深めたり、テニス以外のことを深めました」

「技術的な部分はみんなあるんです。やっぱりもっとチームとして必要なものはなんだろうかということを突き詰めるということを監督になってやりました。団体戦というのは、試合を観ているとやっぱりチームに対する思いがあります。それを作るにはどうしたらいいか、ということだけに特化していました」

これまで、指導の際にはチームとしての意思統一を徹底してきた。

「声を大にして言ってきたのは、指導を一本化するということです。今までコーチに習ってきたこととか、そういうのを一切忘れてくれと。要するにチームとして方針を一本化したいんです。ブレてほしくないんです。迷いますよね。デュースになったときにどうしたらいいか、そのときに自分の本能もいいけど、まずはチームとしてミーティングで言ってきたことは何なのかということを突き詰めて、ブレないようにとにかく一本化しました。こういう時にはこうするというのを徹底しました」

その中で、時代の変化とともに変わった部分もある。

「昔は100パーセント自分のやり方を押し付けていました。でも今は半分半分です。まずはあなたたちが考えなさい。あなたたちで考えてやって、もし困ったら私のやり方も参考にしてください。最初からわからないんだったら、私のやり方を先に取り入れてください。それをやりながら自分たちでアレンジしてくださいというような感じです」

「物事は最初は真似から始まりオリジナリティを作る。真似で終わってはだめだけど、真似から始まってオリジナル、オリジナルがダメだったらまた真似てみろと、それは口酸っぱく言いました」

「私も昔は昭和的な指導でしたが、今は教えるやり方も理論的に説明しないと生徒も納得しない年代になってきました。こうしたからこうなった、こうした方がうまくいくんじゃないかという風に導いていかないと、今の子は納得しません。これは保護者も一緒です。なので生徒にかける時間以上に保護者と話す時間も大切で、うちは保護者会が年4回あるんですけど、その都度部の方針を伝えていくということに一番力を入れました」

2016年からは女子の指導も開始。当初は他の教員から「高橋に女子は見れない」と言われていたが「見返してやろうと、その一心で一生懸命頑張ってやりましたけど、寿命が短くなりました」と笑った。

女子の指導には男子以上にチーム作りに気を遣ったという。

「いくら強くてもギズギスしたチームではだめですし、和気あいあいでもだめです。勝利に対して執着心を持ちながら、みんなで勝ちに向かっていくという役割を男子以上に細かにやりました」

高橋さんは26年の監督人生を終えて「悔いはないです」と語った。

「今回も神奈川を勝ち抜くことは男子も女子も非常に厳しかったです。今回のチームでここに出られて幸せでした。負けてしまったことは悔しいですが、悔いはないです。最後に私の大好きな選抜で終わることができて感無量ですし、みんなには感謝しかないという言葉を伝えました」

来年度からは教え子でもある法政二出身の北浦真斗さんが監督となる。

高橋さんは北浦さんに期待を寄せた。

「なんら心配はないです。むしろどんどん失敗して、また二高を築いていってくださいという気持ちです。年代ごとにいろいと世の中は変わっていきますけど、監督が中心になって引っ張っていき、法政二高のDNAを受け継いでいってほしいと思います」

高橋さんの言葉には、これまでの実績に対する自負と信念が感じられた。26年もの監督生活で時代の変化に合わせた部分ももちろんあったが、その中でもチームの意思を統一するという信念を貫いた結果、高橋さんは法政二を男女ともに強豪校へと成長させた。

監督として最後の年に見事男女とも選抜出場を果たし有終の美を飾った高橋さん。名将が選抜、そして高校テニスに別れを告げた。


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