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高1がアプリ開発「格差なくしたい」

財津櫻
財津櫻さん
画像提供: 財津櫻
高校テニスの日本一の座を争う大会、大正製薬リポビタン 第48回全国選抜高校テニス大会(福岡県、博多の森テニス競技場、オクゼン不動産テニスコート、砂入り人工芝、以下:選抜)は団体戦が21日から25日、個人戦が22日から26日にかけて行われた。今回は女子団体戦と個人戦に選考枠で出場を果たした北海道の市立札幌開成中等教育学校(以下:開成中等)の財津櫻さんを取材した。

>>第48回全国選抜高校テニス大会 男女団体戦・組合せ<<

開成中等が選抜に出場するのは今回が初。高校1年生の財津さんは同校の登録ナンバー1選手として団体戦と個人戦に出場。いずれも初戦敗退となったが、初の選抜の舞台を経験した。

財津さんは小学1年生でテニスを始め、北海道で腕を磨いた。そんななか、小学5年生で初めて出場した全国大会で人生を大きく動かす経験をする。

「小学5年生で初めて全国大会に出場させていただいて、そのときに本州や他の地域の選手と話をする機会があり友達になったんですけど、北海道と本州の練習環境にすごく差があるということに初めて気づきました」

「例えば、本州の人は冬も外で練習ができるということに驚きました。北海道は雪国なので、冬は室内でしか練習ができないんですけど、室内となるとやっぱり金額がかさむので、コートで打つ練習時間が本州より確保できないという課題を知りました」

「あと、北海道内でも札幌は指導者がたくさんいる地域ではあるんですが、例えば旭川だったり釧路だったり他の地域だと、スクール自体が少なかったり、指導者が少なかったりします。生まれた地域によって得られるスポーツ環境の質や、そもそも始めるきっかけが少ない場所もあるんじゃないかというのに気づきました」

「これをきっかけにスポーツの機会格差をなくしたいと思うようになりました。また、北海道の子供たちの体力低下の問題や、スポーツ全般の練習環境が北海道に実際どのくらいあるのかというのを学校の活動で調べたりして、どんどん興味を持つようになりました」

財津さんは現在、これらの問題を解決するための取り組みを行っている。

「まず、スポーツの機会格差の解消を目的としたAIとARを活用したアプリを開発しています。これは環境によってスポーツの機会格差が生まれることを解決するためにどうしようか考え、コーチがいなくても上手くなれる環境を作ることができればいいんじゃないかなと思ったところから始まったスポーツのセルフコーチングサポートアプリです」

「北海道のいろんな高校や、先生や部活の方に協力してもらい、アンケートを取ってどうやったらセルフコーチングがうまくいくのか考えました。その結果、一方向から見るのではなくて、いろんな方向から見ることによって気づきが多くなることがわかりました」

「これをもとに、例えば悪かった部分を相談すると、すぐに教えるのではなくて、問を投げかけてきてくれる対話をするためのAIと、自分のフォームを見てしっかり分析するためのARを掛け合わせたセルフコーチングのサポートアプリを開発中です」

「昨年の10月くらいに初期段階のアプリをいろんな部活の人に試してもらったので、その声をもとに今改善を重ねています。まずは北海道の部活動の学生というのが、私にとっての一番の最初のターゲットなので、そこに届けていきたいと思っています」

また、財津さんはスポーツ環境の土壌整備にも力を入れている。

「文部科学省の“トビタテ!留学JAPAN”に応募し、今年の1月に3週間ほどスポーツ振興だったり、スポーツの文化というのを探求しにメルボルンに留学に行きました」

「“トビタテ!留学JAPAN”はプログラムがあるわけではなく、自分でこういう留学をしたいという計画を立てて留学するものなので、自分で行きたいところにアポを取ったりして行きました」

「例えば現地の総合型スポーツクラブや、無料で地域の子供に夏休み期間中にスポーツプログラムを提供する場所だったり、スポーツ科学を研究している大学などに訪問してインタビューをしたり、実際にボランティアをさせていただいて、オーストラリアのスポーツ文化を学びました」

「オーストラリアで感じたのが、横の繋がりが強いということです。例えば大学でスポーツのプログラムをやったら、大学と地域のスポーツスクールのコーチが繋がりを持って一緒に開催してたりしていました」

「あとは、実際に地域に染み込んでるスポーツ文化がすごく強くて、公園で年代関係なく一緒にスポーツをしてる人がたくさんいたりとかして、そういうのがすごくいいなと思いました。こういうことが北海道でも、もっと自然にできるようになったらいいんじゃないかなと思っています」

「まずはスポーツが楽しいということを、子供が自然に感じられる状況を作ることが大事になるんじゃないかと思っています」

「その一環で、今はドイツ発祥のボール遊びをもとにした、小さい頃にやることによって運動神経が良くなると言われているバルシューレという競技があるんですけど、その教室のボランティアをさせていただいていて、今実際に新しく北海道にバルシューレの教室を増やそうというプロジェクトを大学生の方と一緒に進めています」

財津さんの探究心は留まるところを知らず、その他にも選手がより良い環境でプレーできることを目指し、血液が付着しても落ちやすいユニフォーム素材の探究、果物の不可食部と酢を使用したエコで疲労回復効果のある栄養ドリンクの研究、気温が上昇しても暑く感じないテニスコートの地面構造の研究も並行して行っている。

そんな財津さんに自身の思い描く将来像を聞いた。

「私が目指す未来は、みんなが格差なくスポーツを楽しめる社会なんですけど、まずは自分自身がスポーツ科学だったり、地域とスポーツといった分野の学びを身につけたいです」

「その先に、全体のスポーツの政策を考えることだったりとか、新しくもしかしたらNPO法人とかを立ち上げて、地域に根付いたイベントを開くという取り組みをやっていきたいです」

「日本全体を見られるようになれば理想的ですが、まずは北海道から広めていきたいです」

これだけの取組みを行っている財津さんだが、忘れてはいけないのは彼女自身もプレーヤーであるということだ。

今回の選抜は、財津さんにとって高校に入ってから初の全国大会となり、プレーでの学びも多かった。

「どこを見てもレベルの高い人しかいない会場で、いろんな選手のプレーが見られてすごく勉強になりました」

「その中で、戦うための土台だったり、発想だったり、自分に足りない部分がたくさん見えてきて、悔しいというのと同時に、全国で戦って勝つために自分にどのくらいの力が必要なのかというのを、具体的に生で見て考えられたというのが今回の一番大きな学びだったと思います。高校では全国大会でベスト8以上を目指して今後も頑張っていきたいです」

取材を通して財津さんの取り組みには敬服させられた。また、高校1年生にして自分の考えを理路整然と言葉にできる能力にも驚かされた。

何か問題意識があっても、実際にそれを解決しようと行動できる人は高校生に限らず大人でも少ない。

これだけの問題意識を持ち、実際に社会課題の解決に取り組む行動力を持つ財津さんの未来が楽しみでならない。




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